YAGPを終えて(ブログより抜粋)
- 2018.11.06
以下、2019年11月5日のブログより抜粋です。
長文ですがご一読いただけたら幸いです。
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ジュニアは12〜14歳、シニアは15〜19歳までですが、ジュニアとシニアの境目の差は大きいです。
15歳になると13歳の女の子とは比べ物にならないくらい完成度は高くなります。
17〜19歳の子は即戦力に近いレベルになりますね。
YAGPはポテンシャルを見てくれています。
今回パークサイドバレエスタジオから出場した衣世は、今年の1月にパークサイドバレエスタジオにやって来ました。
その時は、彼女は一見プロポーションはよくて素養はあるように見えるのですが、それまではコンクールにいい思い出はありませんでした。
彼女の素養を見て一から鍛え直してあげたいと思いました。
でも、本当にフィジカルが弱く、片足で立つのも一苦労でした。
その子が未完成とはいえ、たった10カ月で舞台上でヴァリエーションの役を演じながら、ポワントでトリプルが回れるまでに成長することができました。
やはり、バレエは先生が教える内容(質と量)と本人の努力次第で成長できるということが証明できました。
正しい努力をすることで、才能を開花させることができるのです。
世の中には才能のある子はたくさんいると思うのですが、才能が開花するかどうかはまずは指導者によるところが大きいと思います。
私は咲くはずの才能が潰れてしまわないように、一人でも多くの若者を救ってあげたいと思っています。
もう一つ大事なことは家族の支えです。
今回のYAGPでもそうですが、家族のサポートというものの重要性を改めて感じました
一人の生徒を育てるには、本人、先生、保護者の3人4脚なのです。
お互いに信頼し合うことで生徒は安心して成長することができます。
また、今回のYAGPのワークショップで世界の一流バレエスクールの先生方の指導を見て、
私が教えている内容は間違っていないことを再確認しました。
これからも私は信念を曲げずに指導していきたいと思います。
今回、衣世は入賞は逃しましたが、例年以上に厳しい今大会において、初出場で決選に残れたことは大きな成果だったと思います。
コンクールに苦手意識のあった彼女が、今回のYAGPは心から楽しむことができたと言っていました。
お母様も私も、この言葉を何よりも嬉しく感じました。
コンクールはゴールではありません。
ゴールはプロのダンサーになることです。
バレエスクールの先生、あるいはバレエ団のディレクターがこの子ならうちに置いておきたい。
そう思わせるようなダンサーになってもらいたいのです。
今年、Sクラスを卒業して海外のバレエ団、バレエスクールへ旅立った3人の生徒は、過去、残念ながらコンクールでは高評価はいただけませんでした。
しかし、正しい体づくり、正しいバレエの基礎、バレエと体の知識を学んで送り出した結果、彼女たちが自力でつかみ取ったポストなのです。
会場で会ったジョフリーバレエのキャレン先生も、「早耶はスマートでよく教育されていて、すごく良く頑張っている。彼女はパキータでエトワールを踊るのよ。」と褒めてくださいました。
アルバータバレエのアラム先生も「ここにはいろんなスクールから生徒がくるが、美優はよくトレーニングされている!」と褒めてくださいました。
コンクールで賞をもらったりスカラをいただくことは名誉ですし、喉から手が出るくらい欲しい結果であることは間違いないとしても、やはり優先すべきは基礎です。
仮にスカラをもらっても基礎力不足で苦労している子が多いのも事実です。
海外のバレエスクールの先生はほとんど再教育などしてくれません。
だからこそ、日本で習うべき年齢で習うべきことを身につけておかなければいけないのです。
バレエスクールのオーディションやバレエ団のオーディションでも、ディレクターが見ているのは基礎力とポテンシャル、センスです。
さらにいえば、この基礎力が将来ダンサーになった時に自分を救う全てなのです。
振付家の指示に即応する、荒れたバレエを自力で修正する、スランプから早く脱する、心と体の美しさを保つ、これら全ては基礎が原点だからなのです。
ジョンクランコバレエスクールのマタチ先生がおっしゃっていたとおり、基礎の練習と踊りの練習は別です。
コンクールだけのために踊る練習の時間を費やしすぎても弊害があるということは否めません。
全てはバランスです。
なんのためにコンクールに出るのか、よく自分の目標や足元を見ながら筋道立てて選んで出場することが望ましいと思います。
今回は、とにかく学び多きYAGPでした。
ちなみに、衣世は今年の夏にいただいたスカラシップで、来年1月からのカナダナショナルに短期留学に出かけますが、それまでにさらに基礎力をつけて、ひとまわり成長した姿を見せてくれたらと願っています。