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バレエの基礎とバレエのためのコンディショニングの必然性

  • 2023.07.31

夏真っ盛りですが、今年も留学中の2人の生徒が帰ってきました。
二人ともとても元気で優秀な成績で次年度を迎えることができました。
何よりも怪我なく思う存分にバレエに取り組めたことは一つの誇りです。

正しい体の使い方、正しい基礎、自分の身体をセルフコンディショニングできる能力が好成績や先生方からの信頼に結びついたと言えます。

留学前から身体の使い方、バレエの正しい基礎をしっかり練習すると将来とても有用なことばかりなのですが、日本の環境だとコンクールに出まくったりヴァリエーションの練習がとても多い他の教室を横目で見るとつい焦る気持ちも湧いてくるものです。
ですが、間違った知識や技術でいくら器用に踊りこなせたとしても、将来的にはなんのプラスにはなりません。

コンクールは腕試しにもなりますし、人前で踊る度胸もつくし、勝てば自信にもつながるので無駄ではないのですが、基礎や身体作りを疎かにしてまで無理に出る必要はありません。
相応の実力がついてから腕試しするのが良いかと思っています。

今回帰国した二人はそういった意味でも、基礎力アップや身体作りが大事だということを身をもって証明してくれたお手本ではないでしょうか。

ところで日本には才能も技術もいいものを持っているのに途中で伸び悩んで諦めてしまう人が少なからずいます。
自分の能力を自分が思っている以上に高めて自分を変化させていく努力が、持っている才能を開花させる礎なのです。

そのためにも筋肉のリリースとスイッチングを目的とした各種コンディショニングクラスはバレエの能力開発に欠かせません。

バレエが上手くなりたければ、身体作りは必須です。
バレエができる身体を作ってこそ進化できるのです。

バレエダンサーの身体は想像以上に酷使するものです。
一流のプロのダンサーは身体作りやコンディショニングに費やす時間はとっても長いです。
「バレエの身体はバレエのレッスンで作れ」というのは間違ってはいないけれど昔の話。
バレエダンサーに求められる踊りも多様化している中、何よりも大切なのがそれに対応できる身体を準備しておくことなのです。

振付家の要求はとてもタフで、ダンサーの限界まで要求する振り付けをする人がたくさんいます。
特にネオクラシックやコンテンポラリーダンスで顕著です。
だから世界中のバレエ団ではジムを併設したりバレエ以外のクラスを開講するなど身体作りに余念がないのです。

日本人はとても器用ですが、身体の骨格は欧米人のそれとは明らかに異なり、ゆえに日本人ならではのトレーニング方法や身体の使い方をしなければなりません。
それにも関わらず、日本にその方法を知っているバレエ教師が少ししかいないのが現状であり、伸び悩む生徒が後をたちません。

実際パークサイドバレエスタジオに移籍を希望してくる生徒のほぼすべてにおいて、身体の使い方や基本的な技術の知識を身につけていません。
ワガノワやオペラ座スタイルと豪語している教室も多いですが、生徒を見るとどこがワガノワか、どこがオペラ座かと目を疑いたくなることがもっぱらです。

加えてコンクールばかり出ていて、そこそこの結果が出せてもそこから先に進めない。
そんな子供たちを見ていると悲しみと怒りがこみ上げてきてしまいます。
悪い癖を放置されて、それに気づかず練習を重ねてしまっている生徒たち・・・。

悲しいですよね。

それに全員何らかの賞をもらえるコンクールなどもありますが、そんなの真剣になれないですしコンクールとは言えないでしょう。

基礎や身体を作ることはとても時間がかかるものなのです。
たくさんワークショップに出たからって身につくものではなく、繰り返し繰り返し毎日のように指導してもらって身についていくものです。
しかも大切なのはどれだけ正しく、その生徒の条件に合わせて指導してもらえるかです。

今どきのバレエの先生は、解剖学を理解していることなんかは当たり前ですが、必要なことはその知識とさまざまなエクササイズを組み合わせて生徒が成長するためのメニューを組み立てられる能力です。

人の能力を引き出すのは技術がいるのです。
筋肉の質、骨格、靭帯などの条件、生徒のレベル、運動能力や性格も加味しなければいけませんからね。

例えば、ある人にはじっくり順を追って教え込む方法が適していても、ある人には何かをさせないことによって一段と伸びる子もいます。
何かをさせないというとどういうことかとイメージしにくいと思いますが、トータルで見た能力開発の過程でその生徒の癖を読んで、他の生徒にはやれということを敢えて言わないのです。

いずれにしても練習を詰め込むほどにコンディショニングは重要度を増してきます。

パークサイドバレエスタジオは身体作りをとても重視しています。
オープンクラスでのコンディショニングやジャイロキネシスとジュニアSクラスでのコンディショニングは、目的と密度こそ違えどとても大切なことはどちらも同じに押さえています。

コンディショニングはクラスの中だけで終わらせるのではなく、時間があったらやるくらいの方がいいです。

一般の方でも上手くなりたければボディワークバレエコンディショニングやジャイロキネシスは最低限お勧めです。

ジュニアSクラスの生徒には特に自重トレーニングや器具を使ったトレーニングのメニューも用意していますし、解剖学の解説書などを使用して知識を深めたり、運動理論的な筋肉や骨格の作用なども指導しています。

どのようにターンアウトするのか、足はどのように上げるか、胸椎の柔軟性、背中の強靭性と弾力性などなど、一つ一つのエクササイズに適したボディワークができるようトレーニングしていかねばならないのです。

日本人ダンサーでも世界で成功した人はたくさんいます。

何が大切で、今何をすべきか優先順位がわかった人が長い道のりで成功街道を選択したということではないでしょうか。

私ももっともっと研究し続けて、日本の若いダンサーが世界で羽ばたけるよう応援し続けたいと思っています。

一緒に頑張りましょう!


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