【コラム】大人の生徒さまのエピソードより
- 2025.11.04

今日は大人の方で、人工股関節を入れていながらバレエを続けていらっしゃる方の逸話をご紹介いたします。
ジュニアのみなさんでも共通して理解していただきたいことなので紹介します。
パークサイドバレエスタジオでは、バレエのレッスンに付随して“ボディワークバレエコンディショニング”を継続的に行っています。
バレエのクラスととものボディワークバレエコンディショニングに通い続けてくださっている大人の生徒さまのエピソードです。
「できないことや無理だと思っていたことがたくさんあるけれど、継続してやっていたら少しずつ体が変化してきて感動しています。日常生活が送りやすくなりました。歩く時の歩幅が広くなりました。これからも続けたいです。感謝しています。」
最初にお越しになったとき、彼女は可動域やバランスに不安がありました。
できないことが多かったですが、できることから少しずつ積み重ね、エクササイズや体の理論の理解を深める努力をされていました。
私たちが大切にしたのは、安全性と再現性、そして微差の積み重ね。
彼女の場合は人工股関節の特性を踏まえ、できないことを無理強いせず自分の体と向き合いながらマイペースでやってもらっていました。
ボディワークバレエコンディショニングの目的は、バレエのできる身体作りですが、バレエができる身体作りができてくることがすなわち日常生活において見た目も良くなり、動作も快適に身体を使えるようになるということです。
彼女の状態に関連するポイントはこちらです。
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ニュートラルアラインメントの獲得:骨盤・肋骨・頭部の位置を整え、代償動作を減らす。
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股関節まわりの安定化:中殿筋・深層外旋筋群・体幹の協調を丁寧に。
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安全な可動域の中での滑走性向上:関節へ過度なせん断や捻りをかけない。
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足部〜歩行の質の改善:立脚期の支持、蹴り出し、腕振りと胸郭の連動。
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疲労管理と継続可能な負荷設定:翌日も同じ質で続けられる強度に。
見ていると時間はかかりましたが回を重ねるごとに、立位での重心の迷いが少なくなり、歩幅が自然と広がる変化が現れました。
ご本人の言葉にもある通り、「できない」と思っていたことが「少しずつできる」に変わる瞬間は、年齢や既往歴に関係なく訪れます。
鍵は、正しい方向に、やさしく、しかし粘り強く続けること。
そして何より、この成果はご本人の継続がもたらしたものです。
私たちは道筋を照らすことはできますが、歩み続けるのはご自身。
いただいた「感謝している」という一言は、同じだけ、私たちが彼女にお伝えしたい言葉でもあります。
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目標は「いきなり大きく」ではなく、昨日より1ミリ良く。
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年齢や経験は問いません。必要なのは、続ける意思だけです。
最後に、素敵な変化を見せてくださった生徒さまに心からの拍手を。
そして、同じように「もう遅いかも」と感じている方へ——身体は、正しく続ければ必ず応えてくれます。
今回は還暦の方のエピソードでしたが、もっと若い方やジュニアの生徒でも、もっとバレエが上手くなりたいとか、もっと自由に身体を動かせるようになりたいという方にはとても参考になるエピソードだったのではないでしょうか。